【コラム】キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金とは
有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者といったいわゆる非正規雇用の労働者(以下、「有期雇用労働者等」という。)の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化、処遇改善の取組を実施した事業主に対して助成するものです。
こちらの助成金は厚生労働省から発表されている公的な助成金であり、返済不要です。
キャリアアップ助成金には下記のようにいくつか種類がありますが、ここでは正社員化コースというキャリアアップ助成金の代表的なコースについてまとめさせて頂きます。
正社員化支援 | 正社員化コース | 有期雇用労働者等を正規雇用労働者に転換又は直接雇用 |
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障害者正社員化コース | 障害のある有期雇用労働者等を正規雇用労働者等に転換 | |
処遇改善支援 | 賃金規定等改定コース | 有期雇用労働者等の基本給の賃金規定等を改定し2%以上増額 |
賃金規定等共通化コース | 有期雇用労働者等と正規雇用労働者との共通の賃金規定等を新たに規定・適用 | |
賞与・退職金制度導入コース | 有期雇用労働者等を対象に賞与・退職金制度を導入し支給又は積立てを実施 | |
選択的適用拡大導入時処遇改善コース | 選択的適用拡大の導入に伴い、短時間労働者の意向を大切に把握し、被用者保険の適用と働き方の見直しに反映させるための取組の実施 | |
短時間労働者労働時間延長コース | 有期雇用労働者等の週所定労働時間を3時間以上延長し、社会保険を適用 |
正社員化コースの支給までの流れ
有期雇用労働者等を正規雇用労働者に転換または直接雇用した場合に助成。
〇有期 → 正規:1人当たり 57万円
〇無期 → 正規:1人当たり 28万5,000円
正社員化コースの主な要件
〇支給対象事業主に雇用される期間が通算して6ヶ月以上の有期契約労働者。
〇正規雇用労働者等として雇用することを約して雇い入れられた有期契約労働者等でないこと。
〇転換または直接雇用を行った適用事業所の事業主又は取締役の3親等以内の親族以外の者であること。
〇正規雇用等へ転換した際、転換前の6ヶ月と転換後の6ヶ月の賃金を比較して、3%以上増額していること。
〇有期契約労働者からの転換の場合、対象労働者が転換前に事業主で雇用されていた期間が3年以下に限ること。
〇転換または直接雇用後の雇用形態に定年制が適用される場合、転換または直接雇用日から定年年齢に達する日ま
での期間が1年以上である者であること。
〇支給申請日において、転換後の雇用区分の状態が継続し、離職していない者であること。
キャリアップ助成金の注意事項
〇短期の資金繰りには向いていない
大前提として施策後の受給となるため、採用から最終的に受給されるまで半年以上必要となってきます。
そのため、短期の資金繰り改善に応じることは難しく、長期的な視野での検討が必要となります。
〇正社員化を確約できない
採用時、後に正社員化することを確約して有期雇用契約をした場合は対象外となるので、採用段階から注意が
必要となってきます。
例えば、「正社員募集」とし、実際には後に正社員化するというのは信義に反します。
有期雇用契約で募集、その通りに採用し、就業規則に基づいて正社員化するというプロセスがポイントとな
ってきます。
〇給与計算を慎重にする必要がある
出勤簿と賃金台帳の提出が求められるため、給与計算(特に残業代計算)を慎重にする必要があります。
まとめ
本助成金を受給するメリットは、返済義務がないため、経営において重要課題となってくる資金調達の大きな支援になる点です。
多くの要件や注意事項があり一見難しそうに見えますが、計画通りに実行すれば確実に受給可能で、申請上の煩雑さゆえに申請が通る事により、事業の正当性が増し、公的機関などからのお墨付きを得られるということも期待できます。
また、労働者の待遇が良くなることでモチベーション向上→生産性向上も期待できます。
弊社は、税理士・司法書士・社会保険労務士・行政書士・中小企業診断士が在籍し、経理改善だけでなく各種経営に関するお悩みを親身にサポート致します。
是非、お気軽にご相談下さい。