【コラム・10月】社会保険における扶養とは
社会保険における扶養とは
社会保険とは、健康保険・年金保険・介護保険・雇用保険・労災保険の5つの保険の総称で、被扶養者や扶養親族の医療費や介護費用、失業や労働災害などのリスクに対して、生活を保証する公的な保険制度です。
扶養には「社会保険の扶養」と「所得税の扶養」の2種類があり、各々で扶養条件が異なります。社会保険上で扶養を受ける人を「被扶養者」、所得税上では「扶養親族」と言います。
また、社会保険(健康保険)の運営主体は、「健康保険組合」と「全国健康保険協会(協会けんぽ)」の2種類があり、健康保険の運営主体は「保険者」と呼ばれます。
今回は、「社会保険の扶養」である被扶養者の対象と条件に関して、加入者数の多い協会けんぽを例にして社会保険(健康保険)の扶養について解説します。
収入金額要件
〇社会保険の扶養の収入金額要件:年間130万円未満(60歳以上・障がい者は180万円)
〇健康保険上の被扶養者は「今後1年間の収入見込」で判断します。
※「今後1年間」というのは、認定の際は「認定日後1年間」、被扶養者資格確認時は「資格確認実施日以降1年間」、就職などで収入状況に変更が発生した場合は「変更が発生した日以降1年間」となります。
※収入の状況に変動が無い場合は、前年の年収がそのまま今後 1年間の収入見込となりますが、退職や就職など、状況の変動がある場合は、変動の発生ごとに「変動日以降の収入見込」を推計する事になります。
このため、「6月に退職して収入が無くなった(1月~6月の収入は200万円)」といったケースの場合、所得税上はその年は扶養親族とならないが、健康保険上の被扶養者には該当する(退職日の翌日以降)、というように、「所得税上の扶養親族かどうか」と「社会保険(健康保険)上の被扶養者かどうか」が一致しない事があります。
収入の範囲
健康保険上の被扶養者の判定における「収入」は、課税・非課税や、給付目的などを問わず、継続して得られる全てのものを指すため、通勤手当、遺族年金、出産手当金、雇用保険の各種給付(基本手当・育児休業給付など)も含まれます。
一方、退職金などの「今後継続する見込みの無い一時的な収入」は含まれません。
※以下、社会保険庁時代の通達
「年間収入」とは、認定対象者が扶養配偶者に該当する時点での恒常的な収入の状況により算定する事。
従って、一般的には、前年の収入によって現在の状況を判断しても差し支えないが、この場合は、算定された年間収入が『今後とも同水準で得られると認められる事』が前提である事。
なお、収入の算定に当たっては、次の取扱いによる事。
(1) 恒常的な収入には、恩給、年金、給与所得、傷病手当金、失業給付金、資産所得等の収入で、『継続して入るもの(又はその予定のもの)がすべて含まれる事』。
(2) 恒常的な収入のうち資産所得、事業所得などで所得を得るために経費を要するものについては、社会通念上明らかに当該所得を得るために必要と認められる経費に限りその実額を総額から控除し、当該控除後の額をもって収入とする事。
(3) 給与所得(給与、年金、恩給等)は、控除前の総額を収入とする事。
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb1695&dataType=1&pageNo=1
まとめ
収入130万円以上になると、扶養から外れて自分自身で社会保険に加入しなければならなくなります。
いわゆる130万円の壁を越えないためには自分自身で収入をきちんと把握し、コントロールする必要があります。
扶養について理解し、自分にとってより良い働き方を選択していきましょう。
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